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パワータップ活用術: Meredith Kessler on 2013 Ironman Melbourne


トライアスロン情報サイト、Triathlete Europeがプロトライアスリート、メレディス・ケスラー(アメリカ)のアイアンマン・メルボルンでのパワーデータを分析しています。

トレーニングはパワータップで、レースではレース用ホイールという人も多いと思いますが、目の前に絶対的な指標であるパワーが表示される・されないでは、レースでのパフォーマンスに大きな差が。特に定常ペース走行が大事なトライアスロンではパワーメーターは不可欠。これを読んで、次のレースでは是非パワータップを唯一無比のパートナーとして頼ってみてください。


原文掲載日: 2013年9月12日
文: Aaron Hersh




■パワーメーターでパフォーマンスを振り返る

ライダーが実際に費やしたエネルギーを瞬時に教えてくれるパワーメーター。それは単なるトレーニングツールであるだけに留まらず、最高のレース機材でもあるということを知らない人は多い。アイアンマンを5度制しているメレディス・ケスラーもまた、レースではパワータップG3に絶大な信頼を寄せている。

ただ、パワーメーターがあれば必ず勝てるというものでもない。アイアンマン49回完走のケスラーが今回差し出してくれたのは、結果が振るわなかった3月のアイアンマン・メルボルンでのバイクパートのデータだ。そこには彼女の犯した失敗が如実に刻まれており、バイクパートを上手く乗り切るためにパワーメーターをどう使うべきか、そのヒントがいくつも隠されているのである。





ヒント1. 自分のペースを見つける

レースでの目標出力レベルの決定にあたり、ケスラーは2つのことを行っている。ひとつは練習で、【十分なウォームアップ → 5分間の全力走 → 10分の回復走 → 20分TT】を行い、この最後の20分間での出力を1時間のレースレベルの出力と同等と考える。そして、その出力の80%を実際にレースで目標にする出力としている。ふたつめは同じようなフィジカルコンディションで臨んだ過去のレースをピックアップし、それらのレースで維持できた強度レベルを確認することだ。

しかし、ここに忘れてはならないポイントがある。それは、ケスラーはいざレースとなると、上記の方法で行った準備に固執せず、レース中に発生する様々な要因に応じて柔軟なプラン変更を実行しているということである。レースでは時に、経験に基づいた自分の感覚をデータ以上に信用するということも大切なのだ。



ヒント2. 一定ペースで走る。

細かな登りが続いたり、他の選手たちに追い抜かれたりしても、レース序盤は一定ペースを保つように心掛けよう。メルボルンではケスラーはバイクパートも1時間ほど経つ頃、グループの先頭位置を確保するバトルに力を使っていた。「ドラフティングによるペナルティを受けるリスクを嫌った」(ケスラー)のだが、結果、その場面で出力が大きく上下し、自分のペースを乱すことになってしまった。



ヒント3. 補給はしっかり行う。

メルボルンでのケスラーにとっての最大の失敗は補給だ。バイクパートの最初の数時間、ケスラーは十分なカロリー摂取を行う余裕がなかった。そしてその代償を後半のパワー低下という形で払うこととなった。「『お願いだから最後まで持って!』と祈ったけど、大きなツケを払わされたわ」とケスラー。走行ペースにかかわらず、エネルギー補給は絶対だと肝に銘じておこう。



ヒント4. レースコンディションを考慮せよ。

メルボルンではバイクパート前半は一定した向かい風で、それが終盤にかけて追い風に変わった。こうしたレースコンディションの変化にかかわらず、一定出力をキープするのが理想的な走り方だが、現実問題として勾配や風の影響をゼロに抑えることは難しい。上りや向かい風区間では5%程度の出力上昇は仕方ない範囲だろう。上述した補給ミスにより、終盤で大きく下がってしまったケスラーのパワーだが、そこには追い風の存在も影響しているはずである。