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パワーキャル・エッセイコンテスト作品: マイヨジョーヌ賞


2013年12月から2014年2月まで開催しました『パワーキャル・エッセイコンテスト』にご応募いただいた皆様、ありがとうございました。お待たせして申し訳ありませんでしたが、いよいよコンテスト結果の発表です。

ご自身のパワーキャル活用方法と製品のメリットを詳細に説明してくれました、宮城県のSHUN. Sさんの作品が見事マイヨジョーヌ賞(金賞)の栄冠に輝きました。おめでとうございます!

・マイヨブラン賞受賞作品はこちら
・その他の受賞作品はこちら

それでは以下にその作品をご紹介します。





平成26年2月初旬、自転車トレーニングの効率化を目的に、パワーキャルを導入しました。 私が、パワーキャルに興味を持ったのは、パワーキャルの発表が噂されていた頃からでした。 当時は、発売と同時に購入する意向がありましたが、これまで導入を躊躇ったのには、パワーキャルに関する情報を入手すればするほど、運動時心拍が高い人と低い人とは、出力に関係なく、心拍の高い人が強いことになるんじゃないのか?など、基本的な部分に疑問があったためです。恐らく、皆さんがパワーキャルに対して考えていることも、同じ類なんじゃないかと思います。結果的には、この辺の疑問は「パワーキャルの特性を受け入れる」事で、私の中では解決に至っています。

まず、私の自転車環境ですが、ロードバイクを2台有し、冬季間、やはり日々のトレーニングはローラー中心で、固定ローラー・3本ローラーをメニューによって分けながら、現在は週に15時間ほど、実走は休日に天候・路面状況が問題なければ3時間ほど乗っています。チームなどには属していませんので、悲しいかな通年1人で走っています。

トレーニングの指標は心拍ベースですが、固定ローラーでは、ミノウラLR760+Live Trainingというアプリで、パワートレーニング(風)を行っています。サイクルコンピューターはガーミンのエッジ500で、走行ログの閲覧・解析には、ガーミンコネクト、STRAVA、ゴールデンチーターを使用しています。

今回は、この環境でのパワーキャルの使用状況として、話を進めて参ります。

実は、つい最近までパワータップの購入を本気で検討していました。目的は、限られた時間の中で、トレーニングの効率を上げるためにほかなりません。そして、パワートレーニングの中で、特に私が必要としたデータは、直接的なパワーではなく、トレーニング ストレス スコア(TSS)です。「限られた時間の中で、トレーニングの効率を上げる」をキーワードにしたときに、オーバートレーニングに陥り、回復に長期間を要し、トレーニングが停滞してしまうことは、無駄以外のなにものでもありません。つまり、パワートレーニングに私が求めたものは、まずは「疲労の見える化」でした。

パワーメーターについては、クランク型なども検討しましたが、所有するバイク2台ともメインとしている状況からすると、考えは自ずとパワータップに行き着いたわけです。しかしながら、やはり最大のネックは導入経費です。パワータップは、比較的投資も少なくすみますが、諭吉さん十数人のご協力と、妻の厳しい審査を通らなければなりません(これが最難関?)。

このような事を考えながら、悶々とした日々が続いいていましたが、SNS上では、「パワーキャルを導入した」であるとか、「意外と使えるかもしれない」という書き込みが見られるようになっていました。仲間からの会話を進めながら、パワーキャルの信用を高める情報を得て、ある時、「本格的なパワーメーターはもう少し先にして、これまで取り組んできた心拍ベースのトレーニングの延長線にパワーキャルを導入することで、私の求める「疲労の見える化」が、最大限のコストパフォーマンスで実現できるのではないのか」、という一つの結論に達したのです。

思い立ったら吉日、パワーキャルに対する疑問が、完全に払拭された訳ではありませんでしたが、今必要としているはパワーを知ることでは無いわけで、結果的に優秀な心拍計を購入したことになっても良いだろうと決断し、早速、キルシュベルク・インク様のサイトから「ポチッとな」。この2日後には、手元にパワーキャルがありました。(月水金がキルシュベルク・インク様からの発送日のようですので、金曜の夜にポチッとすると、ドキドキ、ワクワクが長いですね。)

届いてすぐ使用したかったので、妻に「今日荷物が届くから、(代引きのため)お金は置いておくから、箱から出してボタン電池が入っているか、確認しておいてちょうだい。」とお願いしておきました。仕事から帰宅し、パワーキャルを確認。想像以上に薄くコンパクトです。ストラップは2か所で長さを調整するタイプです。早速装着し、エッジ500との同期もスムーズに完了。バイクに乗り、固定ローラーでのメニューを開始しました。


実物は非常に小さく

薄くコンパクト



この日のメニューは、Live Trainingが示す出力を見ながらL2―L3を中心とした、いつものベース走。

【アップ(10分)―L2(20分)―レスト(5分)―L3(10分)―スイートスポット(SST)(10分)―レスト(5分)―L2(20分)―ダウン(10分)】

アップでは心拍数を130bpm程度まで徐々に上げていきます。心拍数はL2で135bpm〜140bpm、L3で145bpm〜150bpm後半、SSTでは155bpmから165bpmの間を推移します。

Live Trainingが示すパワーは、ローラーの負荷設定とスピードから算出された数値ですので、クランクの漕ぎ具合で狙ったパワーが表示されます。


一方、エッジ500に示されるパワーキャルの値は、かなり相当に低い数値や高い数値を行ったり来たり。メインのL2―L3の時間中も、アップ時より少ないものの、同じく低い数値や高い数値を行ったり来たり。やっぱり優秀な心拍計を購入しただけか・・・と思いましたが、私の主たる目的は疲労度を知ること。

トレーニング終了後、エッジ500をPCに接続してログを確認しました。画面に示されたパワーのグラフには、果てしないギザギザ。これではよく分かりませんので、平均数値などを見てみると、「それらしいパワー」が記録されています。これにはPCを前にして「おぉぉ!!」と思わず声を上げてしまいました。もちろん、疲労の管理に必要となる各種数値も、しっかり見ることができました。

Live Trainingの画面です。




ビールを片手に、「これは、いい買い物をした。パワーメーターは高いし、1万2千円でこの精度は素晴らしい。満足!満足!」などとニヤつきながらPCを見ていたところ、洗い物をしている妻から「ずいぶんお高い買い物したんですね。「あなただけ!」ヘソクリがあって良いですねぇ。」との横やりが入りました。確かにこれが何なのか分からないと、小さいく軽いし、とても値段相当には見えないかもしれませんね。(相場は知りませんが、)妻が、1万2千円のブラジャーを買ったと知ったら、きっと同じく私も「そんな高いの買って!」と、つっこむと思います。そして、家庭内に不調和音を響かせないよう、ヘソクリは触れて欲しくない話題なので、キルシュベルク・インク様、是非クレジットカード決済の導入願います(銀行に行く時間が取れない場合もありますので)

それはさておき、次からのトレーニングでは、エッジ500の画面にパワーに関する項目を全て表示させ、短いインターバルや10分走、20分走を行いながら、どのような動きをするのか見てみました。

このように、私的実験を行った結果から、次のような事が見えてきました。

















例えば、心拍数が160bpmだから200w、170bpmだから250wというような単純なものではない。
心拍の移動幅が出力の算出に影響しているようだ。アップやダウンの時にパワーが目まぐるしく上下するのは、心拍数の移動幅が特に大きいからではないかと推察する。
心拍数が比較的安定している場合は、表示パワーは上下するが、ある数値を中心に移動し、平均が見えてくる。(例えば、100w―100w―150w―50w―100w・・・のような動き)
ピンポイントで狙ったパワーで走ることは、不可能に限りなく近い困難さである。明らかに低いペースで走っているのに、急に高出力を示したり、逆にゼロになったりする。
インターバルで、負荷に対して心肺が慣れ、前回セットより心拍が上がらない若しくは上がりにくくなると、前回セットと同じギヤ比、スピード・ケイデンスであっても、出力が低く算出される場合がある。
逆に、レストで負荷をあまり低く落とさず次のセットに入った場合、前回セットより、出力が高く算出される場合がある。
走行ログをPC等で分析すると、走行時のバラツキが嘘のように、「それらしい数値」を見ることができる。
走行後、解析ソフトで1秒ごとの計測数値を見ると、平均値を算出しようとするパワーキャル努力が見られる。(これは変な表現ですが、ゴールデンチーターなどで、実際に1秒計測値を見ていただくとご理解いただけると思います。)

課題としては・・・




将来的に見て、トレーニングの結果、心拍数が下がって実出力が向上している場合、どのような値を示すかは、長期的な使用と分析が必要(この点が、私の一番気になるところですが、あまり気は進みませんが、定期的にFTP計測をすることで解決するかもしれません。)
私の場合、噂どおり、ケイデンス255問題が発生しています。記録はされていません。



とあるトレーニングの200秒付近を切り取ってみました。出力は、このようにバラツキがあります。



疲労の管理も、このようにしっかりできます。(まだデータが少ないですが)



次に、FTPを計測してみました。固定ローラーを用いて、Live Trainingで20分少々のヒルクライムコースをシミュレートし、比較のためパワーキャル、Live Trainingの双方で計測しましたが、結果的にはLive Trainingに比べ、パワーキャルが17w高いものとなりました。

・パワーキャル計測のFTP:244w
・Live Training計測のFTP:227w

この17wの違いについては、私は言及しません。FTPに出力割合を掛けたものを指標としてトレーニングをしますから、例えば、FTPの90%でトレーニングする場合、パワーキャルFTPベースでは219w、Live TrainingFTPベースでは204wを目標とすれば良いだけで、見た目の違いはありますが、身体に掛かる負荷は同じであるからです。単純にそれぞれの計測環境に合せれば良いだけの話で、何の違いもありません。(固定ローラーの場合、タイヤに押し付けるローラーの強さによる誤差はありますが)

それでは、日々のトレーニングの中で、パワーキャルを最大限活用するためには、どのような使い方が良いでしょうか。 明言しますが、先にも述べましたとおり、パワーキャルが計測したリアルタイムパワーを指標にしたり、走行中に狙ったパワーでトレーニングすることは、かなり困難(少なくとも私は「不可能」)ですが、パワーキャルの特性を踏まえると、NPやAP、比較的長めの30秒平均、TSSやIFなどを基準にすると、効果的にトレーニングできそうです。


短い時間の(秒単位での)インターバルトレーニングには不向きですので、少し工夫が必要な場合もあります。


皆さんご存知のとおり、心拍の移動は身体の動きより遅れるためです。
この場合、心拍もパワーも気にせずギヤを2〜3枚上げることで対処しています。(感覚的なやり方ですが、結果的にログを見ると秒単位でも「それらしい表示」が確認できます。この積み重ねで傾向が見えてくると思います。)

5分・10分・15分・20分のペース走がおすすめです


NPやAPを見ながら行うと、比較的強度を維持して取り組めます。
NPやAPもいずれ平均表示の類であり、1セットの時間が15分・20分と長いと、後半になればなるほど強度の上げ下げが分かりにくくなりますので、パワーキャルの(一生懸命平均を出そうとする?)特性を理解した上で、10秒平均パワー若しくは30秒平均パワーを、リアルタイムパワーと仮定し、表示させておくことによって、セット途中の基準にすると良いと思います。

長時間ペース走などを行う場合は、サイクルコンピューターのラップ計測を有効活用する。

サイクルコンピューターによりますが、5分や10分毎、3kmや5km毎にラップ計測すると、ペースを維持する精度が高まると思います。

トレーニングストレスで客観的に評価する。(私が一番必要としたところです。)




次のトレーニングに活かすための、データ収集の幅が格段に広がります。
サイクルコンピューターにもよりますが、IFやTSSを表示可能であれば、運動強度と疲労の具合を、トレーニングしながらでも、客観的に把握可能です。
疲労の程度は、これまで体感でしか判断できませんでしたが、トレーニングストレスを見ることで定量的に捉えることができ、オーバートレーニングや故障を防ぎ、結果、効率的なトレーニングが可能になります。


まだ、導入して日が浅いため、しっかりとしたデータ収集には時間も要します。現状としては、上記の4点を中心にパワーキャルの活用を広げていきたいと考えています。

発表当初から、いの一番に購入することを決めていながら、発売から2年間、その精度を疑い続けてきた私の結論としては、「買って良かった」です。もしも、トレーニングの質を高めることを目標として、パワーメーターを導入したいが、いかんせん軍資金が・・・、妻の説得が・・・という(私のような)方には、特におすすめです。パワーキャルで取り組む今後のトレーニングの成果が実れば、実計測型のパワーメーターを購入しなくても良いとも思います。

ただ、総称して言えることは、「しかしながら、心拍トレーニングである」ということです。誤解しないでいただきたいのが、パワーキャルが示す値が、正しいのか否かということではありません。私は、ここをキッパリと整理して、パワーキャルを「有」と判断しているところです。より厳密に精度の高いパワートレーニングを行うには、やはり実測型のツールには敵わないでしょう。

たびたび、パワーキャルvsパワータップなどの比較記事がありますが、どのツールを使用したとしても、それが示すことを指標にして、その環境下で目標・目的に向かって継続的にトレーニングすれば良いだけです。出力の?い・低いを他と比べる事に何の意味もありません。

まだまだ、導入して間もない期間での感想ですので、パワーキャルに対する私の理解度は低いと思いますし、これまで述べた事が、分かりにくい箇所もあったと思います。実際に手に取ってみないと、パワーキャルは理解できないです。ですから、まずは1万2千円と手数料を手元に準備して、早速「ポチっと」してください。(責任は持ちませんが・・・(笑))

自転車の世界が、さらに充実して広がっていきますよ!
パワーキャルで、楽しく・苦しく、一緒に自転車を楽しみましょう!

(何度か「それらしい数値」と表現しましたが、これは、私自身が実計測型のパワーメーターを触った事すらないためです。)





マイヨジョーヌ賞賞品『パワータップGSハブ』

高性能ハブで知られるDT Swiss製240ハブシェルに、15年以上かけて培ったパワータップの出力センサー開発のノウハウを詰め込んだ最新パワータップモデルです。駆動部はベアリングを含めてオールDT Swiss製。スターラチェットは爪のかかり(=ペダル入力に対するホイールのレスポンス)が格段に早いのが特徴です。出力計測を担うのはパワータップG3システム。第三者機関が認定する+/-1.5%の精度でのデータ取得を誇ります。