ニューヨークの寒さ厳しい冬でもサイクリングが楽しい断熱性ブーツ
Eben Weiss 2020/2/27
ウィンターシーズンを通してバイクに乗るつもりなら、適切なシューズの準備が欠かせない。走行中、寒さの影響を真っ先に受けるのは四肢の末端なのだ。なかでも特に寒さを痛感するのが足である。たとえフェンダー装備のバイクであっても、足は路面からの巻き上げを食らう。足がいったん濡れてしまうと、ジ・エンドである。 サイクリストにとってシューズ選びのジレンマは、ウォーキングとサイクリング、どちらも本格的に行おうとすると、1足で両方のアクティビティーをカバーするシューズがなかなかないということだ。ラグソール装備の背の高い断熱ブーツは確かに暖かく歩きやすいだろうが、バイク用としてはその重さと足首周りの不自由さが不満点となりうる。そもそもビンディングペダルの使用が前提なら、こういった一般的なブーツは除外される。 サイクリングシューズはと言えば、路面の良し悪しに関係なく常に歩きづらい。夏用ソックス着用時にピッタリのサイズとなるよう購入したシューズだと、冬に厚手ソックスを履けないことが多く、凍結した歩道や雪のトレイルでの歩行性のなさは言うまでもない。 私も長年、さまざまなシューズカバーを試したり、ソックスの重ね履きで冬の寒さを凌いできたが、ついに観念して、ちゃんとしたサイクリング用のウィンターブーツを探し始めることとなった。そして、行き着いたのがここで紹介するLAKEのMXZ200なのである。冬の間もライディングを続けるサイクリスト向けにデザインされた断熱性ブーツだ。
念のために言うが、MXZ200以外にも冬用サイクリングシューズは販売されている。そこそこ軽量なロードシューズタイプからラグソールと断熱性を備えたスノーブーツタイプまで、バラエティも豊かだ。理想を追求するのであれば、これらのなかから複数タイプを所有し、外の状況やどこを走るのかによって、その日に履くシューズを選べるようにしておくのがベストだ。 しかし当然、それには多くのお金が必要となる。であれば、ひとつでも多くの用途に使えるマルチな1足を見つけるのが現実的な選択肢だろう。私はMXZ200がその1足だと判断した。以下にその根拠を述べていく。
LAKEによるとMXZ200は「摂氏マイナス10度まで快適に履ける」のだそうだ。この冬、これまでのところ、私が住んでいるニューヨーク市の気温はそこまで下がったことはまだないが、ありきたりの薄手のメリノウール製サイクリングソックスでマイナス6度のなかをMXZ200を履いてライドした時は、終始、足がずっと暖かいままだった。 また、気温がかなり上がった日でも、MXZ200は変わらず快適に履くことができた。さすがに夏の着用はオススメしないが、シューズカバーを着用するようなシチュエーションなら、MXZ200があれば間違いなく快適にライドを楽しむことができるだろう。
ウィンターサイクリングシューズを物色していて気付くのは、多くのモデルにBOAダイアルやジッパー、ベルクロといった(少なくとも紐と比べると)ハイテクなクロージャー機構が採用されていることだ。これらのシステムには利点はあるものの、シューズに限っては、それもこれから何年にも渡って愛用していこうというシューズであれば、単純なシューレース仕様がトラブルフリーで安心できる。 もしあなたが毎シーズン、ロードシューズを最新モデルに買い換えるほどのサイクリストだとしても、ウィンターシューズは1足で何年も持たせたいと思うかもしれない。MXZ200ならそれが可能だ。
見た目は普通のシューズ
メカニカルで派手なサイクリング専用シューズとは違い、MXZ200は一般的なハイキングブーツと何ら変わりない外観だ。カラーもブラックとブラウンが展開され、普段着ともバッチリ合わせやすい。カジュアルルックでの街乗りや通勤にも、サイクリングジャージでの週末ライドにも、どちらにももってこいということだ。 MXZ200はビブラム社のラバーソールを採用しており、歩行性もかなりのものだ。ペダリング時のパワーロスを抑えるため剛性もあるので、これでウォーカソン(長距離競歩)に参加するのはやめたほうがいいが。クリートも周りのラバーよりも引っ込んでいるので、硬いフロアでカチカチと音が鳴ることもなく、ショッピングモールやオフィス内でも使いやすいだろう。
マウンテン、ロード、通勤…。多用途に使える。
私はMXZ200をマウンテン、ロード、そして通勤で使用してきたが、どの場面でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれている。マウンテンバイクシューズとしては、トレイルでちょっと無理をし過ぎて、バイクを担いで岩場を超えるハメになった時など、その高い歩行性が非常に役立つ。ペダルにクリップインすれば、特に重さが気になることもない。 ロードシューズとしても完璧に実用的だ。ペダリングに十分なソール剛性があるし、ライクラジャージとはベストなコーディネーションとは言えないが、そんなことはどうでも良いと思えるほどとても暖かい。ロード使用での注意点は、MXZ200は2点留めクリートのみ対応なので、マウンテン用ペダルを使用する必要があるということだ。
手頃な価格設定
MXZ200の価格はティンバーランドのブーツよりも高価だが、断熱素材をふんだんに使った防水性本革ブーツ、それもクリート対応のブーツであることを考慮すると、手頃な設定と言える。他のサイクリング用ハイグレードシューズの相場を見ても、MXZ200の価格は特に高いと感じない。 冬シーズンメイン、それも歩くよりもサイクリングでの使用がメインとなるなら、何年も長持ちすることは間違いない。シューズカバーがすぐにボロボロになって買い替えが必要になることを考えれば、長期的にはMXZ200のほうが経済的な買い物となるだろう。
サイズ感について
私は普段のサイクリングシューズと同じサイズのMXZ200と一般的なサイクリングソックスを使用しており、フィット感は抜群だ。ただし、私のいるニューヨークよりも寒さが厳しい地域での走行が日常となる人は、厚手ソックスを着用することなどを見越して、大きめサイズが賢い選択となるかもしれない。 同様にウォーキング使用の頻度が高く想定される場合も、大きめのサイズにしておいて、クッション性のあるソックスやブーツ内で足を動かせるスペースを確保しておくと良いだろう。
まとめ
サイクリングをより楽しめるよう、長年いろいろなモノ、コトに出費してきたが、そのなかでもMXZ200は最高の投資となった。もしあなたが極寒地域に住んでいて、周りが自転車を倉庫にしまい込み、オフシーズンに入ったあとも走り続けたいのなら、是非買うべき1足である。MXZ200の断熱性と保温力は特筆モノだ。このブーツには辛いだけだったウィンターライドをはるかに楽しいものにする力が宿っている。 ウィンター用サイクリングシューズ市場はバラエティに富んでいる。ただし実際のところ、MXZ200ほど多才なシューズはなかなか見当たらない。LAKE自身、他のブーツモデルも展開しているが、ロード、マウンテン、通勤、街乗り、さらにはビブラムソールの歩きやすさ、ノーマルブーツのようなカジュアルなビジュアルなど、MXZ200の多様性は唯一無二だ。