出荷日

 
 イベント開催日


G3パワーキャップのファームウェア更新手順およびハブ各部のメンテナンス方法


パワータップが検出した出力情報のサイクルコンピューターへのワイヤレス送信を司るG3パワーキャップ(電子ユニット)。このパワーキャップはパソコン(PowerAgent)にUSB接続してファームウェアを更新することができます。メーカーから定期的にリリースされる最新ファームウェアバージョンでは、メーカーに寄せられる不具合への対策などがプログラムされていますので、2〜3ヵ月に1度はパワーキャップをPowerAgentに接続し、バージョン更新を促された場合は必ず実行してください。

ここではパワータップ各部のメンテナンスについても紹介しています。パワータップは電子製品であり、水やホコリなどは大敵です。使用頻度や環境にもよりますが、1〜2ヵ月に1回は分解清掃とグリスアップを行ってください。




■ JavaおよびPowerAgentのバージョン更新
■ パワーキャップの取り外し方およびメンテナンス
■ パワーキャップのファームウェア確認手順
■ パワーキャップのファームウェア更新手順
■ パワータップ各部のメンテナンス





■ JavaおよびPowerAgentのバージョン更新



2015年3月現在、PowerAgentはJavaのバージョン7で正常に動作します。
バージョン8がインストールされているパソコンでPowerAgentの動作に
不具合がある場合は、バージョンを7に戻してお使いください。





PowerAgentは常に最新バージョンをお使いください。
お使いのPowerAgentが最新かどうかの確認とバージョンの更新には、
まずPowerAgentを起動し、[Edit] > [Preferences]と選択します。





[Preferences]ダイアログボックスの[Check Now]ボタンをクリックします。





[Check for New Version]というダイアログボックスが開いたら
[OK]をクリックし、その後は画面の指示に従ってバージョンを更新します。
すでに最新バージョンをお使いの場合はその旨のメッセージが表示されます。








■ パワーキャップの取り外し方およびメンテナンス



電子ユニット取り外し工具(以下、『専用工具』。品番22577。※画像は廃番の21810。)で
ロックナットを緩めて外します。





ロックナットを外したら、今度はパワーキャップを専用工具のくさび形状部分でこじって外します。
専用工具のくさび部をパワーキャップとハブフランジの間に押し込み、少しこじります。





今度は先ほどとは反対側から、同様に専用工具をパワーキャップとフランジの隙間に押し込んでこじります。
これを左右交互に何度か繰り返すとパワーキャップが徐々に浮き上がってきます。
このようになるべくパワーキャップが水平を保ったまま上昇するように注意します。
片側のみからグイグイとパワーキャップを持ち上げようとしないでください。





専用工具を押し込む箇所は「パワーキャップとハブフランジの間の隙間」です。
その少し上にある隙間(ライン)はパワーキャップのケーシングの継ぎ目です。
ここに工具の先を押し込んでもパワーキャップは浮いてきませんのでご注意!





この画像は誤ってケーシング継ぎ目に専用工具を押し込んでしまっている例です。





2mmほど浮き上がったら、後は指で真上に引っ張れば外れます。





取り外されたパワーキャップの端子部分を確認し、通電に支障をきたす緑青が
浮いている場合は接点復活剤でキレイに取り除いてやる必要があります。





この端子部分は狭くて通常サイズの綿棒では掃除がしにくいので、爪楊枝などに
綿棒からちぎり取った綿を巻きつけて、細い綿棒を作ります。そして接点復活剤を噴霧。





端子の表面の緑青を拭き取ります。この時、端子を曲げてしまわないように注意!





左がクリーニング前、右がクリーニング後です。キレイになりました。





さらにパワーキャップから電池を取り出して、電池スロット内の接点プレートも確認しておきます。
画像のように緑青が発生していたら、前手順と同様に清掃してください。








■ パワーキャップのファームウェア確認手順



電池をパワーキャップに戻します。





Micro-USBケーブルでパソコンに接続します。PowerAgentがパワーキャップを認識しない場合は
よくある質問「PowerAgentがパワーキャップを認識しません。」をご覧ください。





PowerAgentで[Tools] > [Configure Device]を選択します。





立ち上がる[Configure Device]ダイアログボックスに"Firmware Version: xx.xxx"と表示があります。
2016年4月現在の最新バージョンは16.063です。上記表示が"16.063"の場合は[OK]をクリックして
パワーキャップをパソコンから取り外してください。16.063未満の場合は事項『パワーキャップの
ファームウェア更新手順』へとお進みください。
※画像は16.058当時のものです。








■ パワーキャップのファームウェア更新手順



電池をパワーキャップに戻す前にチェッカーで残量を確かめます。
電圧が低いと計測や通信に支障をきたしますので新しい電池に交換してください。
メーカーは日立マクセル社製を推奨しています。





電池をパワーキャップに戻します。
前項のクリーニングをスキップした場合(パワータップからパワーキャップを取り外したばかりの状態では)
電池はパワーキャップに入ったままですので、一旦電池を取り出してから再度入れてください。





再度電池をパワーキャップから取り出します。





Micro-USBケーブルでパソコンに接続します。





PowerAgentで[Tools] > [Firmware] > [Check for Firmware Update]と進みます。





[Check for Firmware Update]ダイアログボックスが立ち上がりますので、[OK]ボタンをクリックします。
※画像は16.058当時のものです。





ファームウェアの更新処理が開始します。





更新処理が終わり、"Firmware updated to xx.xxx(2つ前の画面で表示されたバージョン)"が表示されたら、
[OK]をクリックしてパワーキャップをパソコンから取り外してください。
※画像は16.058当時のものです。





10秒待ってから電池をパワーキャップに戻します。
■ パワーキャップのファームウェア確認手順に戻り、
ファームウェア更新が成功したか再確認を行ってください。








■ パワータップ各部のメンテナンス



次にパワータップの各部の清掃とグリスアップを行います。
図のピンク色は防水グリスの、グリーンはラチェット用グリスの塗布箇所を示しています。
便利な少分量グリスはこちらで販売しています。





クワッドリング(Xリング)と呼ばれるOリングを、キズをつけないように
精密マイナスドライバーなどで取り外し、中性洗剤と流水で洗浄後、よく乾かします。

【クワッドリング】 

「クワッド」とは「4」の意味で、リング取り付け側の溝に装着された時に通常の円形断面のOリングの2倍の接点が母体にでき、防水性の高いリングです。また、もう一方の部品の着脱の際の摩耗が少なく、より長寿命です。





赤いOリングも取り外し、中性洗剤と流水で洗浄後、よく乾かします。
ハブ側のOリングが座っていた箇所の汚れもパーツクリーナーを
染み込ませた布などで拭き取っておいてください。





防水グリスを少量指にとります。dielectric(=誘電性)のシリコングリスを使用してください。
画像の『ダウ・コーニング MOLYKOTE 111』の販売ページはコチラ





クワッドリングに防水グリスを塗布します。グリスは薄くムラなく塗布してください。
Oリングは消耗品なので、やつれが見られるようであれば交換してください。





赤いOリングにも同様に防水グリスを塗布します。





エンドキャップも洗浄・乾燥を済ませた後、内側のOリング部分に防水グリスを塗布してください。
反フリー側のエンドキャップはロックナットの前にハブに取り付けてください。





パワーキャップロックナットは洗浄・乾燥後、
リムの内側(ネジ切りのある側)と外側の両方に防水グリスを塗布してください。





クワッドリングと赤いOリングをハブに取り付けます。クワッドリングが捻じれた場合、
精密マイナスドライバーをハブ側の溝との隙間に差し込んで一周させてやればリングが真っすぐになります。

ハブ側のネジ切り部にも防水グリスを塗布します。





パワーキャップをハブに取り付けます。オス端子(パワーキャップ側)とメス端子(ハブ側)の
位置がピッタリ合うよう、位置合わせの凹凸が設けられています。パワーキャップを軽く
ハブに押し付けながら回転させると、凹凸が合わさる位置でパワーキャップがストンと
ハブ側にはまります。あとはパワーキャップを奥までしっかり押し込んでください。





ロックナットを取り付けます。画像は専用工具でトルクを掛け過ぎてエッジが潰れてしまっているナットです。
外側から押しつぶされた樹脂(画像右)がナットの底側に逃げるかたちで盛り上がっています(画像左)。
このようになったロックナットは交換してください。





専用工具でロックナットを締め付ける際の注意点です。

1.
2.

締め込み始めはロックナットが斜めに入っていっていないか気をつけてください。
締め込み終わりはそんなに強く力を入れなくても大丈夫!





続いてフリーボディーです。古くなって粘度のようになってしまったグリスでは、
ラチェットのツメの戻りが悪くなります。赤いシールリングは取り外して洗浄し、
フリーに残ったグリスはペーパータオルなどであらかた拭き取ります。





精密マイナスドライバーでラチェットのツメを保持しているスプリングを外します。
スプリングを変形させないように注意してください。





スプリングとスプリングで押さえられていたツメがフリー本体から外れました。





スプリングとツメは洗浄後、乾かします。フリー本体はパーツクリーナーを
染み込ませた布で古いグリスや汚れを取り除きます。

フリー本体のラチェット部およびスプリングとツメには防錆・潤滑スプレーを吹いておきます。





パーツを元に戻すには、まずツメをフリーにセットします。





スプリングを取り付けます。広げすぎて変形させないようご注意。





赤いシールリングを取り付けます。画像の矢印の先のように裂けたりしている場合があります。
ダメージが見られる場合は交換してください。溝のあるほうがホイール外側を向くようにフリーに取り付けます。





フリーに取り付けられた赤いシールリングです。この状態でシールの溝のない面が表に見えるように
取り付けられています。ラチェットグリスを塗ってフリーボディーの作業は完了です。
ラチェットグリス『Mobilgrease 28』の販売ページはコチラ





ハブ側のラチェットキャビティのグリスも拭き取り、新しいグリスを塗布しておきます(画像は別のハブです)。





アクスルに取り付けられていた筒型スペーサーも洗浄し、アクスルに戻します。腐食があれば交換しましょう。





フリーとエンドキャップを装着してメンテナンス終了です。
パワータップを少しでも長くご愛用いただけるよう、
定期的なメンテナンスを欠かさないようお願いします。

※ 

ハブシェル内のベアリングは取り外さないでください。ベアリングを押し出したり圧入したりすることで、生トルク値が狂ってしまう場合があります。ベアリングを取り外した場合、保証は無効となりますのでご注意ください。

ベアリング交換をご希望の方は保証サービス・修理ご依頼フォームをご覧ください。